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公的データから見るカンボジア投資の魅力

一部の投資家から「カンボジア投資」が注目を集めています。カンボジアは日本と積極的に交流する親日国で、また成長の最中にあることから、有望な投資先の一つと捉える見方があります。本記事では、カンボジアの概要と政治状況、経済状況について公的なデータを見ながら解説。カンボジアに対する理解を深め、投資先の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

カンボジアってどんな国?

まずは、カンボジアの基本情報について見ていきましょう。

カンボジアはインドシナ半島の南西部に位置し、ベトナム、タイ、ラオスと国境を接しています。国土面積は日本の約半分にあたる18万1035平方キロメートル。気象庁によると、カンボジアの首都であるプノンペンの2020年の月平均気温は1年を通して25度を超えており、高温多湿な環境といえます。

カンボジアの政治体制は立憲君主制で、国王がいます。また、カンボジア憲法で自由民主主義や多党制について定めており、国民による選挙も実施されています。経済は市場経済の仕組みを採っています。

カンボジア統計局によると、カンボジアの人口は約1530万人です(2019年時点)。データが開示されている1962年から人口は増え続けています。10~34歳が多く、高齢社会の日本とは逆の人口構造となっており、新興国で多く見られる人口構造です。新興国となると就学率が低いイメージもありますが、14歳までの就学率は90%を超えており、教育の環境は整っているといえるでしょう。

カンボジアには、クメール語という公用語があります。人口の90%が仏教徒で、90%がクメール族という民族で占めています。

カンボジアの流通通貨は米ドル

次に、国内で流通している通貨についてです。カンボジアには「リエル」という法定通貨があります。日本円では1リエル=0.028円となっています(2021年11月24日時点)。

一方、国内で実際に流通しているのは米ドルです。一般的な店舗でも値段表記は米ドルで表示されており、投資においても米ドルが用いられています。ただし、国内では米ドルのセント硬貨が流通していないため、1ドル以下のおつりが発生した場合はリエルが使用されます。

自国通貨を実質持たず、外貨が必要だという事情もあり、外資100%法人の進出も認められています。

成長国であるカンボジアは高い経済成長力を持っていますが、先進国と比較し経済・財政基盤が脆弱なため、法定通貨であるリエルは不安定です。しかし、カンボジア投資では、米ドルという信用性の高い通貨で投資ができます。そのため、通貨の弱さでリターンが消えてしまうという成長国投資にありがちなリスクを防ぐことができるでしょう。

変わりつつあるカンボジアのイメージ

1970年前後から、カンボジアは20年以上戦乱の時代にありました。外務省によると、1970年代中盤のポルポト政権下では100~200万人の国民が死亡されたとされており、政府が機能していなかったことが伺えます。1979 年にポルポト政権は崩壊しますが、国内の混乱は 1990 年前半まで続くこととなります。

かつては貧困に苦しんだ時期もありますが、現在では解消されつつあります。途上国政府に融資や政策助言をしている国際機関・世界銀行のホームページの記事では、「20年にわたる経済成長によって、カンボジアは貧困削減の世界的なリーダーになった」と表現しています。

世界銀行によると、2015年のカンボジア国民一人当たりの国民総所得は1070ドル。低所得国の基準値である1025ドルを上回っています。先ほど紹介した記事ではこの結果を受け、「カンボジアは世界の最貧国の一つだったが、今では低中所得国へと変化した」と結論付けています。

特にカンボジアの都市部は発展してきており、日本でなじみの深い企業の名前も見られます。イオンモールは2014年にカンボジアに第1号店を出店。2018年には2号店も開店し、イオンモールのプレスリリースによると2022年度にも新店舗が開店する予定とのことです。また、現地には「カンボジア日本人商工会(JBAC)」という組織があります。JBACはカンボジアでの日本企業の発展を目的に1992年に設立されました。組織の2020年度活動報告書によると、先述のイオンモールのほか、伊藤忠商事や丸紅、全日本空輸(ANA)など日本国内でも有名な企業が会員として名前を連ねています。組織は製造業や建築・不動産など7つの部会に分かれており、定期的に情報交換をするなどしているようです。

そのほか、日系企業の投資も相次ぎ、日本食の店は今や約200店舗もあるとされています。外務省によると、日本は1989年に開催された第一回カンボジア問題パリ国際会議に参加しています。カンボジアの平和、貧困解消のために働きかけてきた歴史もあり、日本とカンボジアは関係が深いといえるのです。

カンボジアの経済事情

ここでは、カンボジアの経済状況について詳しく見ていきます。

カンボジアの経済状況

世界銀行によると、カンボジアの国内総生産は2010~2019年の間、毎年5~7%の幅で成長してきました。2020年には新型コロナウイルス感染症の影響もありマイナス成長となっていますが、安定して成長を続けてきた国だといえるでしょう。産業別で見ると農業と工業が成長を下支えしてきました。そのほか、コロナウイルス前は、観光関連のサービス業も経済成長に一役買っていました。世界遺産でアンコールワットなど、観光資源が豊富にあります。

コロナ後の経済については、どのように予測されているでしょうか。世界銀行のレポートによると、世界的な流れと同様、カンボジアでも宿泊施設やレストラン、交通機関などのサービス業は大きな打撃を受けているとのことです。しかし、カンボジア・中国間で2020年に締結された「カンボジア・中国自由貿易協定」や、同年に日本や中国、韓国、カンボジアも含めたASEAN諸国で締結された「地域的な包括的経済連携」が好意的に受け止められ投資が増加。卸売・小売業を中心に経済は回復傾向にあるとのことです。

世界銀行は2021年のカンボジアの経済成長率を4%と見込んでいます。予測は、コロナウイルスワクチン接種後に内需が回復し、海外からの投資も回復することを見込んだものとのことです。悪く見積もっても成長率を1%と見込んでおり、今のところ大きく経済が落ち込むことはないと予測されています。

 
 

カンボジアの経済特別区

カンボジアには20以上の経済特別区があります。日系企業の進出もあり、カンボジアの経済成長に貢献しています。特別区では、法人税の免除やインフラ建設の際の設備・建築資材の輸入税などの税金免除など、さまざまな優遇措置がとられています。経済成長には、インフラ整備が欠かせません。インフラ建設に関する優遇策からも分かるように、経済特区は今日のカンボジアの経済成長に貢献してきたといえるでしょう。

 
 

カンボジアの投資環境

カンボジアは投資制度が整っており、海外からの投資を積極的に受け入れてきました。ここでは、カンボジアの投資環境について見ていきます。

開発援助機関の積極的な投資

カンボジアは日本だけでなく、世界の開発援助機関から積極的な投資を受けています。独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2030年までにカンボジアを高中所得国にするべく、上下水道などのインフラ整備や産業振興などの支援を続けています。JICAによると、2021年8月には、経済成長に伴う電力需要の高まりもあり、太陽光発電事業についてタイの企業と融資契約を結びました。融資はアジア開発銀行(ADB)や国際金融公社(IFC)、ノルウェー開発途上国投資基金、タイ輸出入銀行などと協調して実施されるとのことです。またIFCによると、1997年以降、IFCはカンボジアに対して9億5000万ドルもの投資を続けてきたといいます。
 

投資制度が充実しているカンボジア

カンボジアには、カンボジア開発評議会(CDC)と呼ばれる機関があります。CDCはカンボジアでの投資活動について監督責任を持っており、投資について優遇措置を付与すべきか判断しています。CDCが優遇措置を与えると判断した投資プロジェクトは、適格投資プロジェクト(QIP)と呼ばれています。カンボジアのメディア「KHMERTIMES」によると、2020年には238の投資プロジェクトが承認され、15万人の新規雇用が見込まれているとのことです。

QIPと認められることで、法人税や輸入関税、付加価値税が免税されます。事業領域は問われておらず、外資規制もありません。投資に対する体制は整っているといえるでしょう。

不動産と金融業が安定

国土交通省によると、カンボジア政府は2030年までに約100万戸の新規住宅の供給が不可欠だと予測しています。なかでも首都のプノンペンでは、約5万2000戸を建設する必要があるとされています。経済が成長することで富裕層の人数も増え、都市部では高級マンションの建設も進んでいるようです。住宅の需要増に伴い、カンボジア経済産業省は2017年、プノンペンやプノンペン半径20キロ以内に1万5000~3万ドルの価格帯の住宅を建設するとした、住宅政策を定めました。コロナの影響により建設が中断している建物もあるとのことですが、人口が増え続けているカンボジアで不動産関連事業は好調といえるでしょう。

カンボジアの不動産事情
・政府は2030年までに約100万戸の新規住宅の供給が不可欠だと予測
・都市部では高級マンションの建設も進んでいる
・人口が増え続けているカンボジアで不動産関連事業は好調

 
 

また、カンボジア内の金融業も安定した経営状況にあります。カンボジア国立銀行によると、カンボジアには商業銀行が47行あります。商業銀行全体の不良債権は貸出残高の1.8%となっており、安定した状況にあることが分かります。純利益がマイナスなのは10行にも満たず、健全な経営状況にある金融機関が多いといえるでしょう。

カンボジアの金融業事情
・カンボジア内の金融業も安定した経営状況
・47の商業銀行全体の不良債権は貸出残高の1.8%となっており、安定した状況にある
・純利益がマイナスなのは10行にも満たず、健全な経営状況にある金融機関が多い

 

投資対象として経済成長が見込め投資環境が整うカンボジア

ここまで、カンボジアの基本情報や経済状況、投資に関する情報について見てきました。かつては不安定な情勢だったカンボジアですが、現在では国民による選挙も行われ、市場経済が成り立っているなど、国家運営は安定しています。人口も増え続け、コロナウイルスの影響を除いて経済も成長し続けています。外国からの投資を積極的に受け入れ、制度も充実しており、投資先として環境が整っているといえるでしょう。SAMURAI証券では、カンボジアの不動産、金融関連の投資商品についても揃えていますので、ぜひご検討ください。

 
 

※投資はリスク・手数料をご確認の上、契約締結前交付書面を読み、ご自身の判断によって行ってください。